唖莉紗さんに相互記念SS書いていただきました!^^*わーい!
そのお礼といってはあれなんですけど挿絵ぽい何かを描かせていただきました。




Squall Lucent


ただいま森の中で素材集めの真っ最中。
 普段と違うのは二人一組で行動。

 広大な森の中では、先程から言い争いが繰り広げられる。

 「おっさん、早く止め刺してよ」

 「木の陰に隠れて無理なのわかんないの〜?
  ああ、リタっち背が低くて見えないんだっけ」

 「ムカつく……。
  いっぺん死んで来いっ!」

 「とっくにいっぺん死んでます〜ぅ」

 「……もう、大っ嫌いっ」

 そう叫ぶと、リタは森の中を全力で走って行った。
 レイヴンをその場に残して。
 少し言い過ぎたか、そう思うが今みたいなやり取りしか出来ない。
 
 やっと乗り越えた報われない恋心。
 次の恋も報われないなんて、今までの自分のおこないのせいなら文句も言えない。
 その相手は15歳の少女。
 もう焼きが回ってるとしか言いようがない。
 
 薄暗い森がより一層暗くなっているのにレイヴンは気付く。
 空を見上げてレイヴンは舌打ちした、雨雲が森の上空を覆い始めていたのだ。
 降り出す前に探さなければならない。

 「恨むよ青年……」

 そう愚痴を溢して、リタを探すため駈け出した。
 
 
 
 一時間ほど前ペアを決めたのは、リーダーのユーリ。
 エステルにはユーリとラピード。
 フレンとパティ。
 カロルとジュディス。
 レイヴンとリタ。

 「ちょっと!!
  なんであたしがおっさんとなのよ」

 「そうよ青年。
  俺様、ジュディスちゃんとがい〜い〜」
 
 「ちゃんと考えて決めたんだぜ?
  回復役と組む様に」

 「なら少年とおっさん交換でもいいじゃない?」

 「ほらカロル先生はスピード早くないからジュディとでいいんだ。
  それにおっさん―――」

 ユーリはレイヴンに耳打ちした、他には聞かれないように。
 聞いたレイヴンは眼を見開いてユーリを見る。
 見られた本人は勝ち誇る様に笑っていた。

 「……わかったわ、青年誰にも言っちゃいやよ?」

 「おっ。
  かまかけただけ、だったんだが……」

 レイヴンは絶句した。
 ユーリは笑いながら項垂れているレイヴンの肩を叩く。
 頑張れよと言わんばかりに。
 この後は文句を言うリタを丸め込んで出発した。



 パラパラと降り始めた雨。
 紫の羽織に斑点の模様が出来始める。

 「ん〜どこいったのよ……」

 同じ方向に走っては来たが、ここまでリタの姿は見ていない。
 見落としてしまったのか、不安で痛む胸を手で触る。
 
 突如、一際大きい閃光が暗雲の空を駆け抜けた。
 その数秒後には耳を劈く雷鳴が響き、小雨が叩きつける様な大雨へと変わる。
 微かに耳に届いた声。
 雷鳴と雨の音に掻き消されてもおかしくない声が聞こえた。

 間違いないあれはリタの声。
 その声の方へレイヴンは走った。
 雨で視界が悪いうえ、ぬめった地面で足元が掬われそうになる。
 枯れ枝が頬を掠り、雨水と共に流れる血。
 そんな事を気にしてる余裕はない。

 駆け抜けた先にリタがいた。
 巨木の下で震えて、濡れた体を両手で抱え泣いている。

 瞳に捕えた姿にレイヴンは安堵のため息を溢す。
 リタに近寄ろうとした時―――

 またも暗雲を稲光が走る。

 リタのいる場所に走り抱え上がると、その場を全力で離れた。

 「おっさん、何すんの―――」

 リタが言い終わる前に、物凄い音を立てて雷が巨木に落ちた。
 離れた位置からレイヴンが振り返ると、巨木は燃え上がっている。
 あのままリタがその場にいたらと思うと、ぞっとした。

 安全な所まで来ると、抱えていたリタを下ろす。
 
 「リタっち怪我ない?
  大丈夫?」

 「大丈夫よ……」

 色々あり疲れでレイヴンはその場に座り込んだ。
 
 「おっさんこんなとこに座ったら、服汚れるわよ?」

 「もう汚れてるしいいわ。
  疲れた、おっさん……」

 この場では雨は凌げない。
 迎えの場所へ向かうにもかなり離れていた。
 
 心配事が無くなると体が震えだす、雨で濡れた服がレイヴンの体温を奪っていく。
 レイヴンは寒いのは苦手、止まらない悪寒に気分が悪くなり始めた。

 「ちょっと、おっさん大丈夫?
  顔色が悪いわよ」

 「さっ……さむ、い……」

 リタも体が冷えて寒いがレイヴン程ではない。
 レイヴンの顔に触れるとかなり体温が低かった。

 せめて雨さえ止めば。
 リタは空を見上げるがまだ止む気配はなかった。

 「リタっちの手……暖かい」

 目を閉じてレイヴンはリタの掌に擦り寄る様に甘える。
 このまま眠ってしまいそうなレイヴンをみて、リタは焦り始めた。
 徐々に二人の体温は下がって行く。

 「おっさん?
  レイヴン起きなさい!」

 返事がない、それにさっきよりレイヴンの体温は低い。
 
 温めるには―――

 雪山の遭難ではどうするかその知識はある。
 流石に経験はないので出来ない。
 でも放っておけば確実にレイブンは寒さで亡くなる。
 リタは覚悟を決めた。

 「おっさん、我慢してね?」

 リタはレイヴンの頬に手を添え、口付けた。
 
 体の温度は冷たくても体内の温度は高いはず、リタはレイヴンの口を開かせ温かい酸素を送る。
 それを何度も繰り返し続けた。
 
 唇から伝わる体温にレイヴンは目を開く。
 目の前に飛び込んだリタの顔。
 この状況に驚く。

 「……リタっち」

 夢の中か、お迎えが来て召されたのか。
 とても現実だとは思えなかった。

 夢ならと、レイヴンは触れているだけのキスを変えた。
 リタの体を抱きよせて、深く口付ける。

 「ん!?
  おっさん、起きたんなら―――」

 リタの開いた口から舌を滑り込ます。
 逃げまどうリタの舌を追いかけ、吸い上げた。
 レイヴンの肩を叩きながらリタは必死に抗議するが、覆い被され腕を掴まれる。

 「はぁ……おっ、さん……」

 重ね合う唇から二人の舌が交互にまじわる。
 レイヴンの唾液がリタに流れ込んだ。
 絡み合う舌が離れると、飲みきれなかった唾液がリタの口端から流れる。
 お互いの吐息が頬に当たり体温が上がり始めた。

 「リタっち、愛してるからおっさんの傍にいて……」

 「へっ?
  何嘘言って……」

 「本当だから信じてよ、リタっち」

 吸い寄せられるように、リタにキスを。
 雨の中リタの名を呼びながら、幾度もレイヴンはキスを繰り返した。













 目が覚めるとレイヴンは宿で寝かされている。
 頭が痛くてクラクラする、熱も少しあるようだ。
 部屋の扉が開き、様子を見に来たユーリが声を掛ける。

 「おっ。
  おっさん目ぇ冷ましたか?」

 「青年、おっさんなんでここに居んの?」

 「雨の中ぶっ倒れてたんだよ。
  元気になったらリタに礼言うんだな」

 思い出すあの時の出来事を。
 あの雨の中倒れていたのか、ならあれはやはり夢かと思うとレイヴンは残念な気分になった。

 「リタっちは?
  風邪引いてない?」

 「ああ。
  若いから大丈夫だってよ」

 「そう……」

 「じゃ、ゆっくり寝てなよ」

 「ん、もう少し寝とくわ」

 ユーリが部屋を出て行くと、レイヴンは布団に潜った。
 どこまでが現実で、どこまでが夢か。
 きっと現実なら、今頃リタに何をされているかわからない。
 折角の好意にレイヴンは目を閉じ眠りに入った。



 別室にいるリタは考え込んでいる。
 見た目重視のレイヴンが自分に告白したのが信じられないでいた。

 「リタ、おっさん目ぇ冷ましたぞ」

 「あっそっ。
  あんた部屋に入るんならノックくらいしなさいよ!」

 「わりぃ、忘れてた」

 悪びれる様子はまったくなく、ユーリはドアを数回叩く。
 呆れたリタは睨む。

 「そんな顔すんなよ。
  後でおっさんとこ行ってやれよ」

 「嫌よ、なんであたしが……」

 「そう言わずにさ、行ってやれよ。
  喜ぶぜ?」

 「なんで喜ぶのよ?」

 「さぁな。
  オレの口からは言えねぇなっ」

 何か知ってますと言ったように、口端を釣り上げ笑うユーリ。
 リタはユーリを指差し、口をパクパクと開く。

 「あんたもしかして……。
  おっさんがあたしの事好きなの知って―――」

 リタは途中で余計な事を言ったと、口を閉ざす。
 ますます笑うユーリ。

 「おっさんついに言ったか……。
  まぁ、頑張れよ」

 そう言ってユーリは出て行った。
 残されたリタは顔が赤いまま座って動かない。
 入って来たエステルに風邪と勘違いされ、つい余計な事を言ってしまう。

 二人が公認になるまでもう少し。